実家を相続したけど、空き家になっている──。そんなお悩みを抱える方にとって、売却時の税金面でかなり大きな味方となる制度が「相続空き家の3,000万円特別控除(空き家特例)」です。とはいえ、制度を正しく活用するには要件が多く、特に「建物をどう扱うか(耐震改修するか、取り壊すか)」という判断が重要になります。
今回は、一宮解体センターの視点も交えつつ、この3,000万円控除と建物解体の関係、および注意すべきポイントを解説します。
①空き家の3,000万円特別控除とは?
「空き家の3,000万円控除」と聞いてホームページなどで調べても、とてもわかりにくいと思われる方がほとんどだと思います。そのため一宮解体センターのホームページでは、できるだけわかりやすい言葉でお伝えしたいと思います。
【売却の際に税金がかかる場合】
売買価格ー取得費(購入費)ー売却経費=「譲渡益」がプラスになる場合、所得税・住民税がかかります。
先代からの所有期間が5年を超える場合、長期譲渡所得として譲渡益に対して所得税15.315%、住民税5%が必要です。
【空き家の相続で想定されるケース⇒取得費が低い、わからない】
・土地が先祖代々からのもの、もしくは親がいくらで土地を購入したかわからない(取得費が低いため、譲渡益が発生する)。
・建物が古いため、減価償却して建物価格が無い(取得費が低いため、譲渡益が発生する)。
これらの理由により、相続した不動産を売却する際には譲渡益が発生する可能性が高くなります。
このことにより、相続した実家を空き家のまま放置するケースが多く社会問題となっているため、一定の要件を満たした空き家の売却に対しては譲渡益から3,000万円を控除する本制度が設けられることになりました。
つまり、譲渡益が3,000万円を超えなければ不動産売却に係る所得税・住民税がかからないことになります。
現在のところ、本特例の期限は令和9年12月末までの売却が対象となっていますので注意が必要です。また、相続した人が3人以上の場合の控除額は2,000万円/人となります。
②適用を受けられるケースは?
適用を受けるためにはいくつもの要件が必要です。そして一つでも該当しない要件があると受けられない可能性があります。
こちらの内容もできるだけわかりやすくお伝えします。ご紹介する要件以外もございますので、税務署・税理士などへご確認下さい。
■不動産の要件
- 建物が昭和56年5月31日以前に建築されていること。※マンションは適用外
- 売却した日の翌年2月15日までに、耐震改修工事か解体工事を行うこと。
※令和5年度税制改正により売主・買主どちらが工事を行っても控除の対象となりました。
■その他の要件
- お亡くなりになった日から数えて3年を経過する年の年末、かつ本特例の期限(令和9年12月末)までに売却していること。
- お亡くなりになった方が、お亡くなりになる直前まで一人で住んでいた不動産であること。
※介護施設に入居されていた場合は、その他要件があります。 - 相続してから空き家にしていること。※貸したり事業を行ったりしていないこと。
- 売却金額が1億円以下であること、売却先が第三者であること、過去に本特例を受けたことが無いこと。
【ポイント】
本特例は空き家問題への対策が主旨となっておりますので、「古い空き家」を「壊す」か「直す」ことが前提となっています。
但し、築後相当年数が経過した中古戸建に対して、多額の工事費用をかけてリフォームのうえ売却するケースは珍しいケースではないかと思います(あくまでも個人的な意見ですのでご了承下さい)。

③特例を受けるために必要な手続きは?【空き家を解体する場合】
②で前述の通り、本特例を受けられる方の多くが建物を「耐震改修」ではなく、「解体」して売却されると想定して、その際の必要な手続きをご説明いたします。
【1.建物解体後~確定申告までに必要】
■「被相続人居住用家屋等確認書」を取得する。
交付してもらう窓口:売却する不動産が属する市町村役場
交付に必要な書類は該当する市町村にご確認をお願いいたします。
ここでは一宮市の場合に必要になる書類の一部をご紹介いたします。
ポイントとしては、「建物解体後」に各書類を取得して手続きを行う事です。そのため、不動産を売却した相手方(=買主)が建物を解体するケースでは、”売却翌年の2月15日(=確定申告のスタート)までに建物解体が終わっていないと本特例を受けられない”ため、特に注意が必要です!
買主側で建物を壊す売買契約の場合、売買契約の特約条項などで「●年●月●日までに買主が責任をもって建物を解体すること」「買主が期日を守れなかった場合の措置」について明記することをおすすめいたします。
- 申請書(一宮市ホームページよりダウンロード)
- お亡くなりになった方の除票住民票(一宮市役所で取得)
- 相続された方の住民票(お住まいの役場で取得) ※建物取壊し以降の日付のもの
- 売買契約書
- 建物閉鎖事項証明書(法務局で建物滅失登記を行ったうえ取得)または建物取壊し証明書(解体業者から取得)
- ライフラインの閉栓が確認できる書類(水道課、電気・ガス業者から取得)、または「空き家」が確認できる資料(不動産業者から取得)
【2.確定申告を行う】
■必要な書類などは税務署、税理士などにご確認下さい。
④まとめ
空き家の3,000万円特別控除については比較的新しい制度のため、まだ詳細を知らない方もいらっしゃるかと思います。また、ご存知の方でもご自身が適用を受けることができるのかを把握されていない方も多くいらっしゃいます。
もし本特例を受けることができる場合であっても、制度の詳細を知らずに適用を受けるための期限を過ぎてしまうと、売却時の最終手取り金額が大きく変わる可能性もありますので、是非お客様ご自身でご確認をお願いいたします。
一宮解体センターでは、弊社不動産事業部及び提携税理士と連携のうえ、お客様の不動産売却~建物解体~税務までサポートいたしますので、是非お気軽にお問い合わせください!
最後までお読みいただき誠にありがとうございました。
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一宮解体センター 電話 0586-82-1383(水曜定休、営業時間:午前9時~午後6時)
