実家の解体を検討する瞬間というのは、多くの場合、親が亡くなったあとや施設に入居されたあとなど、家族にとって大きな転機と重なります。
長年暮らした家には、家族の笑い声や、季節ごとの行事、日々の何気ない出来事が刻み込まれています。
だからこそ、解体を決断することは「建物を壊す」以上の意味を持ち、気持ちの整理が必要になります。
本記事では、「思い出が詰まった実家を壊すときに、どうやって自分の気持ちと向き合えばいいのか」について、実際のご相談内容や体験談を踏まえながら考えてみたいと思います。

思い出の詰まったご実家の解体…どなたでも一旦は躊躇されることだと思います。
今回は、そのような時にどのようにして気持ちの整理・切り替えを行えばよいか、記事にまとめました。是非ご覧下さい。
1. 「壊す=思い出を失う」わけではない
まずお伝えしたいのは、実家を壊すことが「思い出を消すこと」とは決して同じではない、ということです。
建物そのものは取り壊されても、家族との記憶や感情は心の中に残り続けます。
例えば、
- 玄関の柱に刻まれた子どもの背丈の印
- 夏休みに兄弟で遊んだ庭
- 冬に家族でこたつを囲んだ居間
こうした情景は、建物がなくなっても忘れることはありません。
実際、施主様の多くが「解体しても思い出はちゃんと残っていた」とおっしゃいます。
建物をなくすのは物理的な変化にすぎず、心の中に宿るものは誰にも壊せないのです。
2. 気持ちを整理するためにできること
実際に「解体」を目の前にすると、割り切るのは簡単ではありません。
そのため、多くの方が気持ちを整理するために次のような工夫をされています。
2-1 写真や動画で記録を残す
家の外観、部屋ごとの様子、思い出の品などを写真や動画に残すことで「後から見返せる安心感」が生まれます。
近年では、スマートフォンで撮影し、家族と共有アルバムを作っている方も増えています。
2-2 思い出の品を選んで残す
すべてを残すことは難しくても、家具の一部や建材の一部を記念に取っておくケースもあります。
- 縁側の木材をカットして小さなオブジェに
- 庭石を新居に移す
- 建具をリメイクして飾り棚にする
こうした工夫で「形ある記憶」を未来につなげることができます。
2-3 家族で集まってお別れ会を開く
解体前に家族が集まり、家を歩きながら思い出を語り合う「お別れ会」を開く方もいらっしゃいます。
「この部屋でよく兄弟喧嘩したよね」「ここでお父さんがいつも新聞を読んでたね」――
会話を重ねることで、心が少しずつ整理されていくのです。
3. 解体を決めることは「未来への一歩」
実家を壊すことは寂しいことですが、同時に「次の世代にバトンを渡すこと」でもあります。
例えば、
- 空き家を放置すると防犯上や維持管理上のリスクがある
- 固定資産税や維持管理費などの費用が毎年かかる
- 周辺地域の方にとっても老朽化した建物は危険になる、治安を悪化させてしまう可能性がある
これらを考えたとき、実家を解体するという決断は、未来の暮らしを守るための選択ともいえます。
「壊す」ことは「終わり」ではなく、土地を新たに活かすための「始まり」。
その先には、新しい住宅や駐車場、あるいは家庭菜園など、新たな使い道が広がっています。
4. 実際のお客様の声
弊社にご依頼いただいた施主様の中には、このような声がありました。
- 「最初は壊すことに抵抗があったけど、更地になった土地を見たら『すっきりした気持ち』になった」
- 「兄弟で集まって写真を撮ったおかげで、後悔せずに解体を見送ることができた」
- 「解体の様子を動画で残したことで、両親に『最後まで見届けたよ』と報告できたような気がした」
どの声にも共通しているのは、「気持ちを丁寧に整理する過程があったからこそ、前に進めた」という点です。
5. 後悔しないためのポイント
最後に、実家を壊すときに後悔を避けるためのポイントを整理します。
- 十分に時間をかけて家族と話し合う
- 思い出を写真・動画で残す
- 一部でも形を残す工夫をする
- 解体前にお別れの場をつくる
- 解体後の土地利用まで考えておく
これらを意識することで、心の整理がしやすくなり、実家を「大切に見送る」ことができます。
まとめ
思い出が詰まった実家を壊すとき、そこには必ず寂しさや葛藤があります。
しかし、「建物を失っても思い出は消えない」ということを忘れないでください。
写真や品物に残したり、家族でお別れをしたりすることで、心の中でしっかり区切りをつけることができます。
そしてその先には、土地の新たな活用や、次世代へ受け継ぐ未来があります。
大切なのは「壊すこと」そのものではなく、「どう気持ちを整えて見送るか」。
実家を通して培った家族の絆は、これからも決して消えることはありません。
